コピーライティング講座について思うこと。

http://d.hatena.ne.jp/kiyo560808/20090316/1237226078

これを読んで思い出したこと。

僕も、数年前に某養成講座を受講しました。残念ながら、金のXXXXは貰えなかったです。
で、僕は、この講座、半分くらい行ったところでやめてしまいました。

僕が感じたこの講座への疑問

はじめからもやもやはしていたのですが、疑問をはっきりと感じたのは、ある課題が出された日でした。
「下駄を売るためのキャッチフレーズ*1を作って下さい」

商品を……売るための……キャッチフレーズだとー!?

確かそのときのトップ賞は、下駄は木でできており長く履けることから、当時ホットな話題だったエコまで発想を飛ばして、「カランコロジー」みたいなのでした。

売れる? それ。

売れるか売れないかって、要は企画次第じゃないの?

言葉遊びになるな、掘って掘って、でも遠すぎず、ときには迫って、モノとの距離感を計りながら言葉を選べ。
通り過ぎる人の心に、一瞬でフックをかける。言葉の力って、すごい。この講座は学びも多く、いろいろなところに応用できるので、お金出して行って良かったなって思いました。

でも、僕はやっぱり言葉遊びの域を出てないような気がして。
だって、リアルな商売に立ち返ると、そのあとが問題じゃないですか。売れなければ意味がないのです。せめて見込み顧客リストに入れなければ、広告費を使った効果は得られないし、広告の効果が悪いと予算を削られてしまいます。

「カランコロジー」と書かれたポスターを見た人が、「あ、下駄買おう」って顧客リストに入るでしょうか。ならないでしょう。

つまりね、企画が大事ってこと。企画と言葉が両方凄くないと、実際の成果は出ないんじゃないでしょうか。

実際下駄メーカーが下駄を売ろう売ろうと知恵を絞るときって、下駄について考えるというより、下駄で花火大会に来たらプレゼントみたいなキャンペーンみたいなのを考えて、それのキャッチフレーズを考えるのが筋なんじゃないの? あとは、街の履き物屋さんをまとめる手段とか、調整力とか。

コピーライターさんの多くは、企画段階から呼ばれて仕事をしてるとこの講座で聞きました。企画と言葉は両輪のようなもので、一緒に考えるのが良いんじゃないのかな? と思います。僕はコピーライターではないので、想像です。

で、あの講座というのは、その企画の部分を排除して、言葉をロジカルに操る部分だけを抜き出して、言葉の選び方や視点の講義をしている印象を受けました。
だから、こう悪い言い方をすると、教壇に、センスが良いとされるセンスマンが出てきて、「俺のセンスだったらこうだね〜 理由は、こうだからだよ〜! じゃあ、また次回会おうセンス〜!」みたいなことを言うわけですね。

うーん。なんかもやもやする!

そう思ったら、自然と、足が遠のいてしまいました。
や、語弊が無いように言っておくと、「企画は大事。企画ありきだ」ということは、諸先生方言っておられました。でも、それについて触れられることは殆ど無かったのが不満です。
もっと、マーケティングやプロモーションと絡めて、いろいろな話を聞きたかったなあ*2。コピーを、売るための仕組みの一部として捕らえていた僕には、あの講座が、なんだか純粋文学のように見えたんです。

まずは売れる仕組みを作りたい。

確かに「生の商品」だけに深く迫って、言葉を選ぶことで成り立つ広告はあると思います。
ぱっと思いつくのは、イメージ広告*3。それか、既に商品だけで独り立ちしてるようなユニークな商品。商品が企画を体現している場合ね。
いや、待て待て、と。
80%の企業は、そうじゃなくて、他社と似たりよったりな商品を、なんとか売りたいと思っていて、しかもすぐに売りたいと思っていて、そのために何かできないか、と考えてるんじゃないの? みんなそんなユニークなの?

そうなってくると、多分言葉だけでは売れなくって、企画が練れること、むしろそっちが求められるのかなあ、と思うのです。先のエントリにも課題解決(企業の課題の殆どは「売れない」でしょうけど)という言葉が出ていますけど、多くの会社が本当に求めているのは多分そっち。

もしね、あの講座を受けている大学生が居て、コピーライターかっけー! なりてー! と思っているとしたら、大手を扱える代理店を目指せ! さもなくばものすごく泥臭いことをやる羽目になるよ!(でもそれも多分楽しいよ!)と言いたい、わんこなのでした。

*1:キャッチコピーではなく、キャッチフレーズと言うのが正しい、というのはこの講座で学んだ。ありがとう!

*2:あの会社の講座にはそういう講座もあるので、そっちも受ければ、もしかしたらパズルのように繋がるのかもしれません。もしそうだったら本当にすみません。

*3:やあでもそれも企画ありきだよね。どう見せるとか

離職率が高くなったらけっこうダイナミックな変化が起こるかも。

http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20080702/1214995190
これについて思ったことを書きますよ。

そもそも離職率が高いことは悪いことだと一般企業が考えている理由

ひがさんのblogの例にあるアクセンチュアのような有名企業と、一般的な中小SIerやソフトウェアハウスとは、まるっきり条件が違ってくると思います。

今でこそアクセンチュアは業務拡大のため徹底した求人募集広告攻勢をかけています(@ITとかでよく見ます)が、普段は、あそこまで有名な企業ならばお金かけなくても優秀な人材は集まります。特に新卒の確保には困っていないでしょう? 最近は分かりませんが。

一般的な中小企業では、そうはいきません。みんな人材の確保に困っています。自社のHPから応募があれば一番良いのですがそうはいかないので、人材紹介(エージェント)を使ったり、求人媒体に広告を出稿したりします。ライターに依頼して、会社の特設ページを作ってもらって、一生懸命会社のPRをします。

そうした広告費を、採用者の人数で割ったものを採用単価なんて言ったりしますが、IT業界だと大体70万〜200万くらいではないでしょうか。

そこまでして獲得した人材が離職するのは、企業にとっては大きな損失です。特に、未経験の新人が、やっとコーディングがバリバリできるようになったあたりで「俺もっとできるから大きな会社いくのねーん」とか言って辞めるのはとても痛い。や、技術者が大きく羽ばたくのは素晴らしいことです。それは分かるけども(そして僕も3年で一つ目の会社を辞めたクチだけども)、「ちょ、お前にかけた採用単価200万と、教育費3ヶ月分の給料分、せめて稼いでから……」とか正直思ってしまう経営者が多いのは致し方ない気がします。

したがって一般的には、離職率が高いのは悪だとされているわけで、それを防ぐために企業は「満足度を得られる仕事の開拓」や「みんな仲良く楽しい職場作り」や「大きなミッションを掲げてやりがいの創造」やひどいところでは「仕事をわざと難しく見せてスキルトランスの牛歩戦術」のようなことをするわけです。

まとめると、離職率の高さが悪だと考えられている主な理由は、獲得単価と教育コストの回収が遅れることです。
まあ、他にも組織力(笑)が下がる、とか、いろいろあるけれど、経営者が一番本気で恐れているのはコストであることは間違いないのではないでしょうか。

離職が悪でなくなり、みんな自由に移動するようになると

「俺IT向いてない」とドロップアウトする人はまあ今回は置いておいて、「出来るからもっと上へ」とものすごいポテンシャルを持って駆け上がっていく人がたくさん生まれることを考えてみましょう。
彼らはプロジェクトからプロジェクトを渡り歩き、最終的には、「魅力的」で「技術的トピック」がたくさんある仕事を供給できる会社やその周辺にまとまっていくと思います。

これってホント日本のIT業界に欠けているところで、こういう会社集団、イケてる技術者集団みたいなのがもっとボコボコ生まれて欲しいですね。そしてこういうところから、新しい技術要素が生まれていくようになったら、日本やったな! とか思います。僕もできるだけその場所に近づけるようにがんばりたいです。

この相変化に伴って起こる変化を予想してみた

先も言ったように、離職が悪と考えられている理由は、獲得単価と教育コストです。
離職が正義になったとき、企業はここにお金をかけられなくなります。
その結果、中小の採用はとても慎重になると思います。
「こいつは今後辞めるのかどうなのか」みたいなところを、今以上に厳しく見るようになると思います。
下手すると誓約書みたいのを書かせる企業が出てくるかもしれない。
結果、中小の採用人数が減ると思います。日本のほとんどの企業が中小ですから、結果、IT業界の人口は減ると思います。

ただまあ、僕としては、ここで技術で一花咲かせる中小を見てみたいですね。
一発何かで当てて、自社サイトだけで優秀な人材獲得が出来るようになれば、獲得単価ゼロですから。
難しいですけど、これがIT企業の有るべき姿かな、と。
このインターネット隆盛の時代に、企業の魅力でエンジニア一人集められない会社なんて解散してしまえ! とか、ちょっと思う。
#まあでもじゃあ外へ魅力が伝わりづらい企業が社会的に要らない企業なのかっていうとそういうわけではないので、難しいところ。

一番の問題は教育ですかね

発展する業界というのは、良い人材を外からも獲得しなければならないと思います。特に労働人口が減る昨今は。
今活躍している技術者で、もともと別の業界に居た人も数多く居ると思います。
で、今、誰がその教育をやっているかと言うと、中小企業だと思うんです。
だって、大企業で「未経験OK★ミ」なんてこと書いてあるの見たことない。
で、離職率が高くなると、誰も教育をやりたがらないと思うんですね。

これって、業界にとってあんまり良い傾向では無いな。
できれば、業界未経験者への教育は大手が業界のためにやって欲しいところだけど、まあ、そんな法律でも出来ない限り難しいだろうなー。

そして業界は二極化する

人をつなぎとめる魅力のないSIerからはどんどんエンジニアが流出します。そして先の理由により中途の採用や教育は出来ないので人は増えない。
最悪、コアで開発できる人が居なくなるため、中小の作業形態としてはロースキルの技術者派遣しか残らなくなる。

結果、良いエンジニアがひっきりなしに入っては出ていく企業と、派遣しかこなす能力の無くなった零細SIer(とそれにぶら下がる技術者)に、今以上に二極化するとおもいます。
けっこう潰れる企業増えるんじゃないかな。
まあ、僕はいいことだと思いますよ。何の魅力もない中堅零細SIer、ひいてはしょうもない多重請負構造を壊すのはこれかも! とかちょっと思う。


まあ、極論を書いた気がするけど。こんなことを考えましたよ。

東北に球団が来たときの話

某広告代理店の仙台営業所の人の話

就職活動していた頃だから、もう数年前の話になるんだけど、広告代理店へ面接を受けに行った友達から聞いた話。
#彼は仙台勤務を希望していて、その年は仙台としては新人を受け付けていなかったらしいんだけど、友達は、話だけでも聞きたい、みたいな感じで何回か足を運んでいました。今思えばそんな学生に付き合う社会人ってすごいな。

当時、仙台でスポーツ観戦と言えば、ブランメル仙台改め、ベガルタ仙台でした。もともと地元愛が強い風土なので盛り上がってはいたんだけど、2001年、「あれ? もしかしてJ1上がれる?」みたいなことになったときに観客動員数が倍増。
そして2002年にJ1に上がると、それはもう、村に電気が通った的な盛り上がりを見せていました。
居酒屋ではベガルタの話をしておけば知らない人とでも盛り上がれたし、山田のメロンパンは飛ぶように売れました。
そんな時代。
その奇特な広告マンは、KY学生にこんな話をしたそうな。
「仙台を盛り上げるにはどうしたらいいと思う?」
ベガルタをもっと広めればいいんですかね。まだスタジアム行ったこと無い人いっぱい居るだろうし」
「いや。こういうときは、あと1個ベガルタ級のものを別軸で立ち上げたほうが良いんだよ」
「えっ」
「あと一つの団体がベガルタ級に育てば、経済効果は単純計算で倍だよね。しかも、そうなったときには、ベガルタのファンは勝手に増えてる」

この話を聞いたのが2002年。まさにベガルタがJ1に上がってイケイケドンドンの年に、別の構想を考えている。当時は単純に感動したのを覚えています。
で、まあ、結果は誰もが知っての通り、2005年、東北に新球団が誕生します。
すぐ、この話思い出しました。その頃から準備してたのかはちょっと分からないですけど、まあ、ガシャーンて繋がりました。

で、結果どうだったの? 2つ団体を作ることで盛り上がったの?

ベガルタのほうは、年間の合計入場者数で言えば増えています。途中J2に落ちても、です。
一試合平均の入場者数は3/4に減少してしまっています。これはJ2は試合数が多いので、それが影響しているのかもしれません。単純に比較できるものでは無いのかもしれませんが、なにはともあれ、年間の動員数は、2002年に比べて増えています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%BF%E4%BB%99%E5%8F%B0

楽天のほうは、一試合平均15000人で、まさに今のベガルタと同じくらいの入場者数です。

仙台の、スポーツ観戦というくくり全体の動員数は、本当に2倍以上になりました。
#まあ試合数とかは置いておいて。

今考えると、いろいろ考えるところがあるなあ

確かに、サッカーとは別のものを作るという発想は理にかなってます。リーチしにくい顧客をつかむ努力をするよりは、新しいマーケットを開拓したほうが良いということ。J1に上がって、スター選手が仙台に毎週来るのに、それでもスタジアムへ行かない人は、サッカーは絶対に好きじゃないんですね。そんな人を踊らせるために広告費を使うのだったら、もっと別なことに使った方が効率的です。

そして、サッカーに対して野球、という素材が絶妙。
サッカー派と野球派は、あんまり被らないのでは。同じ県に2個あっても、片方が片方を食うことはなさそうです。
逆に言えば、特にドンパチが無いのでどっちも応援できます。クリスロード商店街の垂れ幕にも、「ベガルタ仙台東北楽天ゴールデンイーグルスを応援しています」と、両方書いてました。
協賛も、ベガルタ楽天の両方に出している企業が居ます。大口で言えば七十七銀行東北電力、藤崎など。仲良く両方に出しています。

あと、これは楽天だけの話だからちょっと違うんですけど、名前に「東北」ってつけるのは、この地方ならではの発想だと思います。東北六県の中心はやはり仙台なので、仙台で事を起こすということは、東北六県を相手にできるわけです。でもね、おらほの町が大好きなんですよ。東北の人って。だから、仙台の球団です、って言うより、「東北共通のものですよ」と言って仕掛けたほうが良い。
地方球場を回るというのはすごく良い試みだと思います。

まとめ

重力ブログは、ゴールデンゴールズを応援しています。